受講生の皆様へ 秋学期の講座編成について

学校法人アテネ・フランセ
学校長 松本 のゑみ

平素より本校にて熱心なご受講を頂き、ありがとうございます。

23年秋学期の講座編成につき、混乱とご不便をおかけしていることを、心よりお詫び申し上げます。
さて、こうした混乱の中で、本校には、一部の受講生の方々から、現状を必ずしも正しくご理解いただけていないのではないかと推察されるご意見等を頂きました。
そこで、本校は、受講生全ての方々を対象として、秋学期の講座編成に関して改めて本校の方針等を、従来以上に具体的にご説明を致したいと考えた次第です。

  1. 本校における講師との間の契約関係について
    比較的長い歴史がありますが、これまで本校と講座を行う講師との間の契約は「業務委託契約」を基本としてきました。在籍する講師の業務実態として、大多数の講師が、本校で講座を受け持つと同時に、他校、あるいは当校以外で何らかの収入を得る活動をしております。現在、専任講師的に本校を主要な業務の一部として講座を担当している講師はおりますが、専任講師として契約している講師は存在しません。
    ですが、近年の社会的変化に伴う労働環境や行政指導を踏まえ、固定授業を担当している講師については、雇用契約への切換えを実施中です。これは、業務委託契約か雇用契約かの労使紛争を回避して安定した就労環境を確保するとともに、各講師が持つ専門性を本校の講座でも遺憾なく発揮して頂き、これを受講生に還元して頂きたい、と考えたためです。
    つまり、本校の場合、週に2時間あるいは4時間程度の受け持ちとなっている講師がおり、そのような専属性の低い講師については業務委託契約で対応することもあり得ると考えますが、たとえそのような講師であっても、固定授業を担当している場合であれば、雇用契約であることを前提に、有給休暇等の便宜を図る方向に進めています。本校で講義を行う講師が、少しでも安定した就労環境であるように改善するという方針の一環です。
  2. 緊急雇用安定助成金の受給と自主返納について
    もっとも、近年はこれまで経験したことのない、いわゆる「コロナ」の状況が発生し、春学期講座も閉鎖を一時期実施し、閉鎖により実施できなかった講座については、受講生の皆様に返金を実施しました。
    他方、本校は、「業務委託契約」であっても「緊急雇用安定助成金」を受領できるという誤った認識から、これを受給しておりました。この点は本校の落ち度であり、反省しており、既に受領した助成金の返納申請を行いました。
    そして、本校はこの助成金の受給を前提に各講師に休業補償を支払いました。本来であれば、各講師に持続化給付金の受給をしてもらうべきところでしたが、既に現時点で各講師が同給付金の申請 ・受給を行うことはできない状況です。そこで、本校は、講師に対して支払った休業補償の金額を全て本校の持出しとして負担することとし、各講師に返金を求めることは予定していません。
  3. アテネ・フランセ労働組合の要求について
    アテネ・フランセ労働組合(組合)は、本校が、契約期間が満了する講師に、新契約に合意しなければ雇止めする旨通知したこと、新契約は1時間も最低労働時間の保証がなく、開講されなければ休業補償の支払いがないのは不当であること等を主張しています。
    しかし、本校は、従来から、講師の方との間で締結する契約書に、受講生を募集するための時間割予定表に記載する時間の最低数を記載して合意してまいりましたが、組合が今般要求しているのは、それ以上に、確定的な労働時間という意味での時間数 (いわゆる所定労働時間数)を、受講生の募集を待たずして確定的なものとして契約書に記載し、実際の受講生の応募状況にかかわりなく (仮に受講生が集まらなくても)賃金を支払うことを合意せよという特殊な内容です。
    本校が講師の方々との間でそのような特段の合意をしたことはこれまで一度もありません。なぜなら、前述のとおり学期ごとに受講生の募集に成功して初めて開講可能となりますから、組合が要求する合意に応じれば、経営が立ちゆかなくなることは明らかだからです。
    組合が、なぜ今回これまで一度も合意したことがない一方的に講師に有利な契約内容を突然要求し、これに本校が応じない限り組合員の講師の方々が契約しないと主張しているのかについては、本校は理解いたしかねます。
    いずれにしても、本校は、組合員の講師の方々も含めて、秋学期以降も引き続き新契約 (賃金額等は基本的に従前の契約条件を踏襲しています)を締結していただきたいと提案しているのですが、組合員の講師の方々は、上記要求を堅持され、これが認められない限り、本校が提案する新契約を拒絶するという対応をとっています。
    その結果、組合員は、秋学期以降の授業の担当をご自身の意思により外れることとなりました。そのため、前期まで該当講師の授業を受講していた受講生の皆様には、混乱とご不便をおかけすることとなったことについて、本校は大変残念に思っております。
    他方、組合員以外の多くの講師の方々は、当校の提案に応じて新契約に応じて頂いております。組合員の方々も、今後新契約の締結に応じていただけるのであれば、従前どおり授業の担当を認める方針です。

まずは2023年秋学期の開始にあたり、受講生の皆様へのお知らせとさせて頂きます。

以上